すずらん基金法律事務所とは
1 すずらん基金法律事務所とは
すずらん基金法律事務所は、北海道内における弁護士過疎地域に弁護士を派遣することを目的とする都市型公設事務所です。
北海道は、国土の約22%にあたる約8万平方キロメートルの面積を有し、約540万人の人々が生活しています。令和3年1月11日現在、北海道の登録弁護士数1048名のうち831名(全道の79%)が札幌地方裁判所本庁管轄内に登録しており、道内の弁護士が札幌に集中している状況にあることは否めません。これまでの司法過疎解消の取組みにより、地方裁判所支部管轄内に登録弁護士が全くいないか、1人しかいない地域(いわゆるゼロ・ワン地域)は、解消されてはいるものの、弁護士偏在の問題がすべて解決したわけではありません。道内では、弁護士偏在状況を改善するため、平成13年4月から現在までに計20カ所(紋別、網走(定着)、オホーツク北斗、根室、留萌、名寄、倶知安(定着)、室蘭(定着)、ひだか、中標津(定着)北見(定着)、岩内、稚内、伊達(定着)、宗谷(定着)、オロロン、浦河、流氷の町、本別、オホーツク枝幸)の「ひまわり基金法律事務所」が開設されていますが、まだまだ弁護士不足が深刻な地域が残っています。そのような北海道内の「司法過疎地域」に派遣する弁護士を養成するため、北海道弁護士会連合会(道弁連)所属の弁護士が特別会費を拠出した「すずらん基金」を創設し、当事務所は、その援助を受けて運営されています。
「すずらん基金法律事務所」は、平成17年3月、札幌弁護士会館内に開設され、現在、75期2名、76期1名の弁護士が勤務しています。当面、社員弁護士は毎年若干名ずつ採用され、原則として3年以内に道弁連の指定する「司法過疎地域」の中から選択して「ひまわり基金法律事務所」や個人事務所の所長として赴任することになっています。
2 当事務所の実績
当事務所は、これまで30名以上の弁護士を中標津、北見、名寄、岩内、稚内、伊達、ひだか、留萌、倶知安、浦河、紋別、本別、オホーツク枝幸、根室の「ひまわり基金法律事務所」の所長として派遣しました。このうち、中標津、伊達、北見、倶知安に赴任した弁護士はその後定着し、個人事務所を開業しています。他に当事務所の出身弁護士で、室蘭と登別で独立開業した弁護士もいます。
「司法過疎地域」を抱える弁護士会連合会が、過疎地域に派遣する弁護士を養成する事務所を開設、援助するのは、全国で初めての試みでした。
現在では、他の弁護士会連合会でも当事務所をモデルとした事務所が開設されるに至っています。